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世界の未来を想像する

ICA京都ディレクター ⽚岡 真実(かたおか・まみ)Photo: Akinori Ito

ICA京都ディレクター⽚岡 真実(かたおか・まみ)

キュレーター、ICA京都所長

伝統文化からポピュラーカルチャー、音楽、食まで日本の芸術文化には世界から熱い視線が注がれています。コロナ禍を経て訪日外国人旅行者も一段と増加し、京都はその主要な目的地のひとつです。一方、1990年代以降グローバルに拡大した現代アートは、世界の複雑な政治経済、社会状況を反映し、近年では多様な民族、人種、ジェンダーなどのアイデンティティや文化における歴史的背景にも敬意を払い、ますます多面的なシーンが生み出されています。

ICA京都は伝統文化が深く根付いた京都からダイレクトに世界の現代芸術の動向と繋がることを目指し、京都芸術大学大学院の付置機関として2020年に創設されました。京都には芸術大学が多くあり、毎年数千人が実社会に送り出されていますが、複雑化したアートのエコシステムのなかでまずどの方向に進めば良いのか、若いアーティストは霧のなかを歩むような思いをしていることでしょう。

京都芸術大学大学院では、2018年度にグローバル・ゼミを立ちあげ、世界各地で活躍するアーティストやキュレーターの集中講義形式による学びの場を設けました。同じ空間で同じ時間を共有する体験から一過性に終わらない人間関係が育まれ、実際、そこで結ばれた縁が徐々に拡がり、卒業生はさまざまな世界と接続しています。その活動はICA京都とも連動し、トークシリーズや国際シンポジウムなども開催してきました。

2025年度の大学院芸術専攻改編に合わせ、ICA京都は、より深く教育活動に参画し、次世代の人材育成に貢献していくこととなりました。具体的には大学院教育におけるグローバル・スタディーズ、アジア・スタディーズの創設(グローバル・ゼミを承継)、従来の国際シンポジウムやトーク、ワークショップに加え、新たにアジア美術系大学学生会議も創設します。また、これまでのウェブマガジン『REALKYOTO FORUM』を一部踏襲するかたちで、『ICA KYOTO JOURNAL』を創刊します。さらには世界の第一線で活躍するアーティストとの協働プログラムなどを通してリサーチから制作プロセスまでを実践的に体験していきます。

これらの多様な活動を通して、日本文化の歴史と伝統も共に学ぶこととなるでしょう。またアジア地域相互の繋がりを重視し、アジアの歴史的、地理的文脈の理解を深めて行きたいと考えています。

世界とは、多くのローカルの集積であって、「ここが世界」というひとつの場所はありません。多様な人・体験・知識と繋がることで、世界の構造や人類の歴史、宇宙の歴史などを想像することができるのです。ICA京都を通して、共に壮大な世界の未来を想像していきましょう。

スタッフ

ICA京都

所⻑
⽚岡真実(キュレーター、京都芸術⼤学教授)
副所⻑
中⼭和也(アーティスト、京都芸術⼤学教授)
顧問
浅⽥ 彰(批評家、京都芸術⼤学教授)
プログラム・ディレクター
堤 拓也(キュレーター、京都芸術大学准教授)
特別プロジェクト担当ディレクター
金澤 韻(インデペンデント・キュレーター、京都芸術大学准教授)
エディトリアル・ディレクター
桐 惇史(編集者)
マネージメント・ディレクター
清水千帆(京都芸術大学事務局)
2025年4月現在