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スティーブン・ジョンソン1周忌
福永 信

2016.01.26
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スティーブン・ジョンソン(Stephen R.Johnson)が2015年1月26日に亡くなって1年になる。ピーター・ゲイブリエルの「Sledgehammer」(1986)のヴィデオクリップの監督として有名だ。子供の頃から何度も見ているが、まったく飽きることがない。だけど何度も見てきたくせにスティーブン・ジョンソンの名前はまったく知らなかった。ずっと前、広島国際アニメーションフェスティバルアードマン・アニメーションズ特集でこのヴィデオが上映されていたから、てっきりニック・パークの作品だと思ってたくらいだ。ごめんよ、スティーブン。

先日、ピーター・バラカンの『ミュージック捜査線』(1993)を読んでいて、スティーブン・ジョンソンの名前が出てきて、それでwikipediaで調べたら、1年前の今日、死んでいたと知ったわけだ。63歳だった。絵描きでも、物書きでもあったようだ。「Sledgehammer」では、たくさんの賞を受賞している。ニック・パークがたずさわったのは、肉になったニワトリ2羽がダンスするシーンだそうだ。ブラザーズ・クエイも参加してるとは驚きだ。作品の最後、わんさか人が出てくるが、ピーター・ゲイブリエルの娘さん2人、アニメーター達、スティーブン・ジョンソンのガールフレンドも出ているという。にくいね。

同じアルバム「So」に入ってる「BigTime」(1986)のヴィデオも傑作だった。この「BigTime」もまたストップモーション(クレイ)アニメーションの軽快な映像だが、デイヴィッド・ダニエルズ(David Daniels)が担当している。ストラット・カット(輪切り・切り落としアニメ)が気持ち悪いくらい、気持ちいい。「Steam」(1992)はまあまあの出来だと思うけど、セクシャルなバカバカしさは粘土と同じく子供の大好きな世界で、スティーブン・ジョンソンは、子供が面白がることをやめなかったんだということがわかる作品だ(ダイア・ストレイツの「The Bug 」(1991)は子供/幼虫が主人公だ)。ピーター・ゲイブリエルとほぼ同い年のスティーブン・ジョンソン。おたがいを高め合った、盟友といえるだろう。

トーキング・ヘッズのヒット曲「Road to Nowhere」(1985)もスティーブン・ジョンソンの作品。こっちのほうが「Sledgehammer 」などよりも早い。この映像のくだらなさもまたすばらしく、とくにイスに座ったデイヴィッド・バーンの少し垂れた前髪が、左から右、右から左へと移動していくのは、まさにroad to nowhere そのもので、何度見ても笑っちゃうんだ(デイヴィッド・バーンは、スティーブン・ジョンソンと同い年だ)。

なあスティーブン。おまえさんは、子供のテレビ番組を作ってたそうだが、おれはそれを見ることはできなかったけど、おれは子供の頃、小林克也の音楽番組であんたの作ったヴィデオクリップを見て、大興奮してた。そんなおれがこんな大人になって、こんなふうな仕事をしてんのは、スティーブン、おまえさんの仕事が、もしかしたら少しは影響してるのかもしれないぜ。こんなにも面白い世界があるなんて、と思わせてくれたことに感謝する。おれはカンザスにも行ったことがないような男だけど、あんたの名前を、もう忘れないぜ。ありがとう。あと、YouTubeくん、wikipediaさんも、ありがとな。